World Heritage Watch Report 2023のリリース~世界遺産やんばるの森と米軍北部訓練場:国際社会での更なる検証へ~
World Heritage Watch Report 2023のリリース
世界遺産やんばるの森と米軍北部訓練場:国際社会での更なる検証へ
World Heritage Watchが2017年から毎年リリースしているWHW Reportは、1100以上ある世界遺産の中でも、問題を抱える世界遺産について、市民社会のメンバーがその現状を伝え、問題解決のための要請・提案を国際的に示す重要な報告書である。WHW Reportは、ユネスコ世界遺産センター、IUCNなどの関連国際機関と共有され、市民社会による関係政府へのロビーイングの材料として重要な役割を果たしてきた。WHW Report 2023では、やんばるの森や今年2月のトルコとシリアでの大地震により大被害を受けたシリア、アレッポの世界遺産を含む45の世界遺産について報告がなされている。
私たち市民社会は、やんばるの森の世界自然遺産登録の過程を通し、また遺産登録後も、一貫して、日本政府が隠そうとし、沖縄県や関連自治体がきちんと声を上げてこなかった北部訓練場の問題と米軍廃棄物の問題をユネスコ世界遺産センターとIUCNに訴えてきた。そして問題の解決に向けて要請・提案を行ってきた。私たちの取り組みは、環境省の2019年の世界遺産登録推薦書における北部訓練場の存在の明記や、世界自然遺産に関わる問題解決に取り組むための日米間の「合意文書」の作成、「日米合同委員会環境分科会」の問題解決のための機関としての位置付けへと繋がっていった。また沖縄防衛局による世界遺産内の米軍廃棄物の撤去作業に結びつき、沖縄県や地元自治体も米軍の訓練や廃棄物の問題に声を上げ始めている。World Heritage Watchとの連携、そしてWHW Reportでの報告は、私たちとユネスコ世界遺産センターやIUCNとの関係をより直接的、かつ透明性を持つものにしてきており、その効果は大きいと考える。
連絡:
Okinawa Environmental Justice Project
代表 吉川秀樹
yhidekiy@gmail.com
080-8554-9718