(随分遅れました)プレスリリース:World Heritage Watch Report 2025: 世界遺産やんばるの森と米軍北部訓練場の報告を掲載

World Heritage Watch 2025が発行

世界自然遺産やんばるの森と米軍北部訓練場の報告が掲載

 

202562日、ベルリンを拠点にユネスコ世界遺産の保護・保全に取り組むNGOWorld Heritage Watchは、World Heritage Watch Report 2025WHW Report 2025)を発行しました。私たちの報告 “Lack of Information on Military Training Hinders the Conservation of Northern Okinawa (軍事訓練についての情報不足が沖縄島北部の保全を妨げる)” (p.202-p.205)も他の52の報告とともに掲載されました。執筆者は吉川秀樹(Okinawa Environmental Justice Project)、河村雅美(The Informed Public Project)、宮城秋乃、花輪伸一(辺野古・高江を守ろうNGOネットワーク)の4人です。


                      

報告の国際社会での活用
私たちからのWHW Reportへの報告は今年で4回目になります。

WHW Report 2025は、ユネスコ世界遺産センターおよびユネスコ世界遺産条約の諮問機関であるIUCN(国際自然保護連合)ICOMOS(国際記念物遺跡会議)ICCROM(文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)に送付されています。また5月のNGO-ユネスコ会議では、吉川秀樹がこの報告に基づいてユネスコ世界遺産センターやIUCNと直接の意見交換を行なっています。


報告の概要

私たちの報告では以下4点を取り上げています。
1)
宮城秋乃さんが情報開示手続きで入手した日本政府の2023年文書を紹介し、20237月に日米政府が発表した
世界遺産やんばるの森(沖縄島北部)の保全に関する「共同声明」は、ユネスコ、IUCN、そしてこの報告の継続的な提出のような市民社会からの働きかけの成果であったことを報告。ユネスコやIUCNが日本政府や米軍に直接働きかけることの重要性を強調し、働きかけの継続を要請。同時に「共同声明」が、具体的にどのような取り組みに反映され、成果を生んでいるかどうかは不明であることも指摘。


2) 米軍の訓練が世界自然遺産やんばるの森の環境に与える影響、特に固有種や絶滅危惧種に与える影響に関する情報が相変わらず欠如していることを報告。東アジアの地政学的不安定さを理由に、訓練が強化され、現在では日本の自衛隊やイギリスやオランダの軍隊が北部訓練場の訓練に参加していることも報告。さらに市民社会から、イギリスとオランダの軍隊に対し、米軍との共同訓練やその際の環境保全措置について情報を求める書簡を送ったこと、それに対しイギリス軍は 「そのような情報は保有していない 」「2022年に沖縄の米軍北部訓練場での合同訓練に英軍は参加していない 」との回答があったことを報告。このイギリス軍の回答は、2023年の米軍による記者会見での「イギリス軍やオランダ軍が2022年に合同訓練に参加した」とする発言と矛盾することを指摘。


3)環境省が策定した「やんばる国立公園管理運営計画書(パブコメ案)」(2025年)において、世界遺産登録地を含む国立公園に隣接する北部訓練場での軍事訓練や米軍廃棄物についての言及が全く欠けていたことを報告。軍事訓練による世界遺産への影響の適切な調査が必要であることを指摘し、日米政府に調査を要請


4)世界遺産やんばるの森(北部訓練場返還跡地)における米軍廃棄物や軍事訓練の問題を訴え、抗議してきた宮城秋乃さんが、道路交通法や火薬類取締法などの法律違反で20253月に有罪判決を受けたことを報告。世界遺産やんばるの森に関する情報を求める地域住民の活動は、妨げられ脅かされたりするのではなく、奨励されなければならないと指摘。


国際社会の動向と今後の市民社会の取組

WHW Report 2025の「序文」では、第二次世界大戦終戦から80年、ユネスコ設立から79年経った現在、ユネスコ世界遺産条約を含む多くの国連の制度がその機能を果たすのが難しくなっていると指摘しています。そして、このような状況だからこそ、国連制度のこれまでの成果を再確認し、国連制度自体を守る努力が必要だと主張しています。私たち著者は、WHW Report 2025の発刊を踏まえて、これからも市民社会のメンバー、世界遺産センターIUCNと協力し、日米両政府に働きかけ、やんばるの森を軍事訓練や廃棄物のない「真の世界自然遺産」にしていくための取り組みを続けていきます。そしてその取り組みが世界遺産条約やその制度を守ることにつながると考えます。

 

連絡先

Okinawa Environmental Justice Project

代表 吉川秀樹

yhidekiy@gmail.com




 

WHW Report 2025からの抜粋


WHW Report 2025全文はここをクリック.


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