OEJP声明:日本政府による辺野古新基地建設設計変更「代執行」承認について

 OEJP声明:日本政府による辺野古新基地建設設計変更「代執行」承認について

Okinawa Environmental Justice Projectは、日本政府が沖縄防衛局の辺野古新基地建設計画における地盤改良工事を「代執行」により承認したことを強く非難する。この建設計画は、民主主義を蔑ろにする、非科学的検証に基づいた環境破壊であり、軍事的にも不具合をもつ、無謀な計画であり、日本政府の沖縄に対する差別を具現化するものである。この計画が失敗するのは明らかだ。OEJPは日米政府に対してこの計画を中止するよう要求する。また日本政府に対し、基地建設がこれまでに破壊してきた環境の回復を要求する。さらにOEJPは日米政府に対し、米軍海兵隊普天間飛行場を閉鎖し、県外移設の代替案を策定することを要求する。OEJPは、新基地建設を止めるため、また辺野古・大浦湾の環境を守るため、ポスト代執行の取り組みを展開していく。

  

日本政府の代執行による承認

20231228日、斉藤鉄夫国土交通大臣は、玉城デニー沖縄県知事、そして玉城知事を知事と選んだ沖縄県民に代わり、辺野古基地建設にかかる沖縄防衛局の設計変更申請を「代執行」により承認した。この承認により、同局は大浦湾側の軟弱地盤改良工事に着手することが可能となり、2024112日に工事が開始されると予測されている。

 

日本政府の代執行による承認は、玉城知事による地盤改良工事の不承認を違法とする福岡高裁の判決を受けたものである。玉城知事は最高裁に上告しているが、最高裁が高裁判決を覆さなければ工事は止まらない。最高裁は高裁判決を踏襲すると見られている。


代執行による承認の問題

日本政府の代執行による承認は、民主主義の原則を根底から覆すものである。沖縄県民は、選挙、住民投票、非暴力直接行動など、あらゆる民主的手段を使って、辺野古新基地建設計画に20年以上反対してきた。玉城知事の揺るがない基地建設反対の姿勢は県民の民意を反映している。

 

日本政府の代執行による承認は、同建設計画に関する科学的データと合理性を無視したものだ。専門家は、このような条件の悪い場所に軍事基地を建設することの合理性を疑問視し、基地建設の実現可能性さえも疑われている。辺野古・大浦湾が世界レベルの生物多様性を有すること、建設地には軟弱地盤や活断層が存在すること、そして地震の可能性があること、これらすべてが辺野古・大浦湾が軍事施設に適した場所でないことを示している。

 

日本政府の代執行による承認は、世界に誇る辺野古・大浦湾の生物多様性をさらに破壊させるものである。軟弱地盤改良工事のために71,000本の杭を海底に打ち込んでも環境に悪影響を与えないという沖縄防衛局の主張を、冷静な判断ができる人なら受け入れることは出来ないはずだ。(16,000本の杭は直径1.62メートルで、水面下80メートルの深さまで打ち込まれる)。沖縄防衛局の「これまでの工事も環境に影響を与えていない」という主張も、明確な証拠により否定されている。


日本政府の代執行による承認は、米国政府や米国のシンクタンクが表明した懸念を無視している。普天間飛行場の代替基地となる辺野古新基地について、米国会計検査局は滑走路の短さを指摘し、適切な運用は難しいと警告している。基地を使う立場にある米軍は、地盤沈下する飛行場の軍事的運用性に懸念を示している。また完成時期が疑問視されていることから、辺野古基地は米軍の戦略計画に位置付けられない状態だといえる。

 

日本政府の代執行による承認は、米国海兵隊普天間基地周辺の住民をいつまでも普天間基地の危険にさらすことを意味する。日米両政府が唱える、普天間の危険性の除去には「辺野古が唯一の解決策」という呪文は、辺野古新基地建設計画の不確実性を無視している。新基地の完成時期が不確実である以上、住民がいつ危険から解放されるのかも不確実である。

 

日本政府の代執行による承認は、日本政府の沖縄に対する差別的態度をより明確にする。日本政府が都道府県に対して「代執行」の権力を行使したのは、日本の歴史上、今回が初めてである。上記した要因があるにもかかわらず、日本政府は代執行による承認を全く躊躇せずに行った。日本政府の沖縄に対する差別的態度はこの計画の無謀さに匹敵する。

ポスト代執行の取り組みについて

OEJPは、この新基地建設計画を止めるため、そして辺野古・大浦湾の環境を守るために、ポスト代執行の取り組みを展開していく。私たちの取り組みは、この計画は必ず失敗する、という認識に基づいている。なぜならこの計画は、民主主義を蔑ろにする、非科学的検証に基づく、環境破壊であり、日米政府が掲げた軍事的意義さえ満たせない、無謀な計画であり、沖縄に対する日本政府の差別を具現化したものだからだ。OEJPは、国際市民社会のメンバーと協力し、日本や米国の選出議員、国際的な専門家、国際機関に計画の無謀さと差別性を伝え、私たちの取り組みへの支援を求めていく。


Image Source: The Okinawa Times

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