World Heritage Report 2026発行: 世界自然遺産やんばるの森と北部訓練場の問題を継続提起
環境省の中間評価シート、米軍機騒音と軍事廃棄物の証拠
今回の市民社会からの報告は、世界自然遺産「沖縄島北部」における日本政府/環境省の環境管理に異議を唱える新たな証拠を提示しています。特に注目すべきは、環境省が作成した『モニタリングに基づく中間評価シート(案)』(2025年)において、米軍の訓練および軍事廃棄物に関する議論が欠如している問題を、沖縄防衛局の資料と対比して指摘したことです。
沖縄防衛局の騒音データ:環境省の中間報告書において、米軍機の訓練に関する情報が全く欠如している一方、「沖縄島北部」に隣接する地域社会における深刻な米軍機の騒音について沖縄防衛局が記録をしており、環境省の取組みの不備を示している。
米軍廃棄物と境界管理:2019年、当時まだ世界遺産候補地であった区域内で、新たに投棄された米軍廃棄物が発見され、沖縄防衛局が処理していた。この発見は、「沖縄島北部」と米軍北部訓練場との間に明確な境界が設定されていないことへの懸念を改めて確認させ、同時に、米軍による意図的な廃棄物投棄ではないかとの疑念も生んでいる。
環境保護活動者の役割:やんばるの森での米軍の訓練に対する地元住民の長年の抗議活動が、現在世界自然遺産となった「沖縄島北部」の保全に寄与してきており、地元の環境保護活動家は極めて重要な役割を持っている。
関係機関への提言
2017年に「沖縄島北部」の世界遺産登録手続きが開始されて以来、市民社会は日米政府のみならず、ユネスコ世界遺産センターやIUCNに積極的に働きかけてきました。 それが、2016年における保全のための日米間の合意書の策定、2019年における日米合同委員会環境分科会の保全メカニズムとしての位置付け、そして2023年のさらなる日米間の合意書の策定につながっていっます。しかし、これらの枠組みは具体的な成果を生み出すには至っているとはいえません。
『WHW Report 2026』が英国のストーンヘンジやブラジルのリオデジャネイロのシュガーローフ・マウンテンにおいての保全の成功事例を紹介するなか、今回の沖縄からの報告と提言が具体的成果につながることが期待されています。執筆者らは、日本政府、米軍、ユネスコ、およびIUCNに対し、提言を早急に採択し、「沖縄島北部」を完全に保護された「真の世界遺産」とするために協力するよう働きかけていきます。
執筆者について
市民社会からの報告は、以下の研究者/NGOメンバーにより執筆されました:
吉川秀樹(Okinawa Environmental Justice Project)
河村雅美(インフォームド・パブリック・プロジェクト)
宮城秋乃(蝶類研究者)
花輪伸一(沖縄環境ネットワーク)
