2024年 新年のメッセージ 

2024年:Okinawa Environmental Justice Project 新年のメッセージ


明けましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。 

2024年をスタートするにあたり、昨年一年を通してOEJPを支援し共に活動して頂いたみなさんに感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。みなさんの支援と協力により、OEJPは辺野古・大浦湾とユネスコ世界自然遺産やんばるの森を日米政府による軍事化から守る取り組みを続けることができました。

辺野古・大浦湾における日本政府の基地建設を止めること、そしてやんばるの森における米軍の訓練を止めることは確かに大きな挑戦です。そして目標の達成には程遠いのが現実です。昨年も辺野古・大浦湾の環境破壊は続き、今年はさらに環境破壊が激化することが予想されています。また世界遺産やんばるの森での米軍の訓練については、環境への影響の調査自体もきちんと行われているとはいえません。しかし昨年、私たちの目標達成に向けて重要な進展があったことも確かです。2024年はその進展を踏まえて、新たな取り組みを展開していきたいと思います。

辺野古の浜でのハチウクシーの集会(2024年元日)

辺野古新基地建設

昨年11月、在沖縄米軍幹部が、メディアの質問に答える形で、軟弱地盤の上での飛行場の運用や工事の遅れなどに関する懸念を米軍として初めて公に表明しました。これは重大な進展だったといえます。現在、この無謀な建設計画の実現に自信を示しているのは日本政府だけです。米国連邦議会や米国のシンクタンクは、この計画に疑問を呈してきました。設計変更の代執行裁判で政府を支持する判決を下した日本の裁判所さえ、基地建設にはさらなる設計変更が必要になる可能性に言及しています。


2018年末に軟弱地盤の問題が表面化して以来、OEJPは米国政府に対して軟弱地盤について独自に検証するよう求めてきました(こちらも参照)。そして、在沖米軍幹部が懸念を表明する2カ月前の9月には、OEJPは米軍に対し、米国情報公開法を使い、軟弱地盤、地盤改良工事が環境に与える影響、基地の運用性に関する米軍の分析・評価の公表を求めていました。地元メディアがOEJPの情報公開請求を記事にし、メディアの中には同様の情報公開請求を国防総省に求めたところもあります。国防総省の正式な分析評価の公開はまだですが、今回の在沖米軍幹部から口頭で懸念や見解が表明されたことは重要な展開です。


今年OEJPは、軟弱地盤と環境破壊の問題を米国議会の議員や日本の国会議員に訴え続けていきます。私たちの主張は明確です。軟弱地盤が存在し、かつ世界的レベルで生物多様性に富んだ辺野古・大浦湾は軍事施設には不適切な場所であり、そこは環境保全の対象地域となるべきです。辺野古・大浦湾の生物多様性を守ることが沖縄、米国、日本のより良い関係の構築につながります。


やんばるの森

昨年7月、日米両政府は、やんばるの森を守るための協力体制を強化するための新たな合意を発表しました。合意内容のひとつは、地域コミュニティと在米軍の協働の推進です。これは重要な進展だったといえます。この合意に基づいて、環境省は、米軍と、沖縄県、国頭村、大宜味村、東村、その他の地域団体やNGONPOを含む地域コミュニティーのミーティングを予定しています。OEJPはこのミーティングに参加し、米軍と率直な議論ができることを期待しています。


今回の新たな合意の背景には、OEJPが地域住民やWorld Heritage Watchと協力し、ユネスコ世界遺産センターやIUCNに対し、日米政府が世界自然遺産やんばるの森の保護のために設定したこれまでの合意や協力メカニズムに実効性がないことを報告してきた事実があります。OEJPは、世界遺産センターとIUCNに対し、このメカニズムを効果的なものにするよう両政府に働きかけるよう要請してきました。


今年もOEJPは、日米政府に働きかけていきます。またWorld Heritage Watchのネットワークを通じてユネスコ世界遺産センターとIUCNに働きかけていきます。私たちのスタンスは明確です。世界遺産やんばるの森は軍事訓練の場所には適しておらず、環境保護の場であるべきです。そして世界遺産条約がいかに人類のとって重要な環境を守ることができるかを示す場であるべきです。


OEJPの今後のビジョン: 地域での取り組み、国際的枠組み、軍事化と環境、そして私たちのネットワーク

2024年、OEJPは大きなビジョンを持って活動していきます。まず第一に、辺野古・大浦湾とやんばるの森を守るために、市民社会が活用できる世界遺産条約、生物多様性条約、国連人権理事会などの国際的枠組みのメカニズムを活用していきます。これらの国際機関に対して、報告書や要望や提案を提出し、そして日米両政府に対しては、国際枠組みを尊重するように働きかけていきます。


第二に、OEJPは戦争と軍事化と環境の関係に人々が関心を向けるように活動していきます。現在ウクライナ、ガザ、そして世界各地での戦争や紛争が人命、人間性、環境を破壊し、軍事化が世界各地で人々の生活や環境に影響を与えています。国際社会は、気候変動、生物多様性や生態系の喪失、公害に関する議論から、戦争や軍事化についての議論を除外することはできないと認識するようになりました。戦争と軍事化の一部であることを余儀なくされてきた沖縄。その沖縄を拠点とする市民のプロジェクトであるOEJPは、軍事化と環境の関係を調査し、広く一般に知らせ、武力に頼らない解決策を提唱する重要な役割を担っています。


最後に、OEJPはプロジェクトとしてのキャパシティーの強化し、他の市民社会メンバーとの関係強化に努めていきます。OEJPは人的にも財政的にも小さなプロジェクトです。私たちがこれまで活動できたのは、他の市民社会メンバーや組織からの支援と協力があったからです。今後も市民社会のメンバーと協力し、私たちのビジョンを実践していくために、OEJPのメンバーシップを拡大し、資金を確保していきます。

 

みなさんにとって、そしてこの地球にとって、素晴らしい一年となりますように!



辺野古ぶるー:辺野古の浜にて 
2024年元日


 

 



 


 



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